流浪の民、それから

寒い日だった。 雪がちらついていた。 自分はよそ行きの服を着せられていた。 母親にすごい力で手をつながれていた。 母親はまるで追手から逃げるかのような速足だった。 いつもとあまりにも様子が違う。 よそ行きの服を着るのは、たいてい楽しいおでかけの…

やってみたかったバブルバス

今考えると、ものすごいあばら家に住んでいたんだとは思う。 でも、この家にはお風呂がついていた。 小さいころの感覚だからだろう、わりと広いお風呂だったと記憶している。 その日の昼間、自分はテレビでいわゆるオシャレでおハイソな外国番組を見ていた。…

怖かった初トイレ

多分、2歳前後の事なんだろうと思う。 母親に聞いてみたが、その事は覚えていないとの事だった。 この事件前後の記憶がはっきりあるわけじゃないので その頃トイレトレーニングをしていたのかどうかも今じゃ解らない。 ので、覚えている限りを書こうと思う。…

初めてのお酒?

母親には、1歳半ぐらいの頃、目を離したすきに一升瓶を倒して 日本酒の海で遊んでいたことがあると言われた事があるが 実際に自分で覚えている最初のお酒の記憶と言えば、2歳の誕生日だ。 父親と母親が目の前にいて、テーブルの上にケーキがあって、 父親…

子供は見た目通りのイキモノじゃない

覚えている限りで思い出すと、実際ロクな思い出じゃないのが大半だ。 あまり恵まれていないかもしれない環境で生きてきた。 この先、もしかしたら病気や認知症で全部忘れてしまうかもしれないから、 覚えている事を書いておこうと思った。 赤ん坊だった自分…